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ページの最終更新日時: 2024年3月14日

カンクンーデネブ (デンクン)

カンクンーデネブ (デンクン) はイーサリアムネットワークのアップグレードで、 プロトダンクシャーディング (EIP-4844)を有効化し、より安価な ロールアップストレージのための一時データブロブを導入します。

新しいトランザクションタイプにより、ロールアップ・プロバイダーはデータを「ブロブ」と呼ばれる形でよりコスト効率よく保存できるようになります。 ブロブは約18日間 (より正確には4096) ネットワークで利用可能であることが保証されています。 その後、ブロブはネットワークから削除されますが、アプリケーションはプルーフを用いてデータの正当性を検証可能です。

これにより、ロールアップのコストが大幅に削減され、チェーンの膨張が抑制されます。セキュリティと分散型ノードオペレーターを維持しながら、より多くのユーザーをサポートすることができるのです。

プロト・ダンクシャーディングによる手数料引き下げは、いつロールアップに反映されるのでしょうか?

  • 本アップグレードは2024年3月13日午後1時55分 (UTC)、エポック269568に有効化されました。
  • ArbitrumやOptimismなどの主要なロールアッププロバイダーは、アップグレード後すぐにブロブがサポートされることを表明しています。
  • 個々のロールアップのサポートタイムラインは、各プロバイダーが新しいブロブスペースを活用するためにシステムを更新する必要があるため、異なる可能性があります。

ハードフォーク後にETHはどのように変換されるのでしょうか? {#scam-alert}

  • ETHに必要なアクションはありません: イーサリアムのデンクンアップグレード後、ETHを変換またはアップグレードする必要はありません。 あなたのアカウント残高は同じままで、現在保有しているETHはハードフォーク後も既存の形式でアクセス可能です。
  • 詐欺に注意してください! ETHを「アップグレード」するよう指示する人は、詐欺を試みています。このアップグレードに関して、あなたがする必要のあることは何もありません。 あなたの資産は完全に影響を受けません。 詐欺から身を守る最善の方法は、情報を得ておくことです。

詐欺の認識と回避についての詳細

デンクンネットワークアップグレードはどのような問題を解決しているのでしょうか? {#network-impact}

デンクンは主に、ネットワークの分散性を維持しながら、手頃な手数料でスケーラビリティ(より多くのユーザーとより多くのトランザクションの処理) に対応しています。

イーサリアムコミュニティは成長に対して「ロールアップ中心」のアプローチを取っており、レイヤー2のロールアップを安全により多くのユーザーをサポートする主要な手段として位置付けています。

ロールアップネットワークはメインネットとは別にトランザクションの処理 (または「実行」) を行い、その結果の暗号論的証明や圧縮されたトランザクションデータをメインネットに記録のために公開します。 これらの証明を保存するには費用() がかかり、プロト・ダンクシャーディング以前は、すべてのネットワークノードオペレーターがこれらを永久に保存する必要があったため、コストが高い作業でした。

デンクンアップグレードでのプロト・ダンクシャーディングの導入により、これらの証明のためのより安価なデータストレージが追加されました。ノードオペレーターはこのデータを約18日間だけ保存すればよく、その後はハードウェア要件の拡大を防ぐためにデータを安全に削除できます。 ロールアップは通常7日間の引き出し期間があるため、ブロブがこの期間中L1で利用可能である限り、セキュリティモデルは変わりません。 18日間の削除ウィンドウは、この期間に対して十分なバッファを提供します。

イーサリアムのスケーリングについての詳細

古いブロブデータにはどうアクセスするのでしょうか? {#historical-access}

通常のイーサリアムノードは常にネットワークの現在の状態を保持しますが、古いブロブデータは導入後約18日で破棄される可能性があります。 このデータを破棄する前に、イーサリアムはすべてのネットワーク参加者がそれを利用できるようにし、以下のための時間を確保します:

  • 関心のある当事者がデータをダウンロードして保存すること
  • すべてのロールアップのチャレンジ期間の完了
  • ロールアップトランザクションの確定

古いブロブデータは様々な理由で必要とされる可能性があり、いくつかの分散プロトコルを使用して保存およびアクセスできます:

  • The Graphのようなサードパーティのインデックスプロトコルは、暗号経済的メカニズムによってインセンティブを受けたノードオペレーターの分散型ネットワークを通じてこのデータを保存します
  • BitTorrentは、ボランティアがこのデータを保持し、他の人に配布することができる分散型プロトコルです
  • [イーサリアムポータルネットワーク] (/developers/docs/networking-layer/portal-network/) は、BitTorrentに似た方法で参加者間でデータを分配し、分散型ネットワークのノードオペレーターを通じてイーサリアムの全データにアクセスを提供することを目指しています
  • 個々のユーザーは、過去の参照のために必要なデータのコピーを自由に保存することができます
  • ロールアッププロバイダーは、ロールアップのユーザーエクスペリエンスを向上させるために、このデータを保存するインセンティブを持っています
  • ブロックエクスプローラーは通常、この情報を全てインデックス化して保存するアーカイブノードを運用し、ユーザーがウェブインターフェースを通じて簡単に過去のデータを参照できるようにします

なお、過去の状態の復元は1-of-Nの信頼モデルに基づいて動作します。 つまり、ネットワークの現在の状態を使用してデータの正確性を確認するには、信頼できる1つのソースからデータを取得するだけで十分です。

このアップグレードは、イーサリアムの全体的なロードマップにどのように貢献しますか?

プロト・ダンクシャーディングは、ダンクシャーディング の完全な実装に向けた準備段階です。 ダンクシャーディングは、ロールアップデータのストレージをノードオペレーターに分散させることを目的としており、各オペレーターは全体のデータの一部のみを扱えばよい仕組みです。 この分散により、ブロックごとのデータブロブの数が増加し、イーサリアムがより多くのユーザーやトランザクションを処理できるようにスケーリングすることが可能になります。

このスケーラビリティは、手頃な手数料でより高度なアプリケーションを実現しつつ、分散型ネットワークを維持しながら、イーサリアム上で何十億人ものユーザーをサポートする ために極めて重要です。 これらの変更がないと、ノードオペレーターのハードウェア要求が増大し、より高価な設備が必要になってしまいます。 すると小規模なオペレーターが価格の面で排除され、少数の大規模なオペレーターにネットワークのコントロールが集中する可能性があり、これは分散化の原則に反する結果となる可能性があります。

このアップグレードは、イーサリアムの全体的なコンセンサスやバリデータクライアントに影響しますか?

はい、プロト・ダンクシャーディング (EIP-4844) には、実行クライアントとコンセンサスクライアントの両方のアップデートが必要です。 すべての主要なイーサリアムクライアントは、このアップグレードをサポートするバージョンをリリースしています。 アップグレード後もイーサリアムネットワークと同期を維持するために、ノードオペレーターはサポートされているクライアントバージョンを実行していることを確認する必要があります。 なお、クライアントリリースに関する情報は時間とともに変化するため、ユーザーは現時点の詳細情報を知るために、最新のアップデートを参照すべきです。 対応クライアントリリースの詳細(opens in a new tab)

コンセンサスクライアントはバリデーターソフトウェアを扱いますが、これらは全てアップグレードに対応するよう更新されています。

カンクンーデネブ (デンクン) は、Goerli やその他のイーサリアムテストネットにどのような影響を与えますか?

  • Devnet、Goerli、Sepolia、Holesky はすべてデンクンアップグレードを受けており、プロト・ダンクシャーディング が完全に機能しています
  • ロールアップデベロッパーは、これらのネットワークでEIP-4844のテストを行うことができます
  • ほとんどのユーザーは、各テストネットに対するこの変更による影響を全く受けません

L2上のすべてのトランザクションはこれから一時的なブロブスペースを使うことになるのでしょうか?それとも選択することができるのでしょうか?

イーサリアムのレイヤー2 (L2) で行われるロールアップトランザクションには、2種類のデータストレージを利用するオプションがあります: 一時的なブロブスペースか、永久的なスマートコントラクトのcalldataです。 ブロブスペースは経済的な選択肢で、より低コストで一時的なストレージを提供します。 これにより、必要なチャレンジ期間中にデータの可用性が保証されます。 一方、スマートコントラクトのcalldataは永久的なストレージを提供しますが、コストが高くなります。

Blobスペースを使うか、calldataを使うかの決定は主にロールアッププロバイダーによって行われます。 彼らはこの決定を、ブロブスペースの現在の需要に基づいて行います。 ブロブスペースの需要が高い場合、ロールアップはデータがタイムリーに投稿されることを確実にするために、calldataを選択する可能性があります。

理論的には、ユーザーが好みのストレージタイプを選択することは可能ですが、通常はロールアッププロバイダーがこの選択を管理します。 この選択肢をユーザーに提供すると、特にコスト効率の高いトランザクションのバンドリングにおいて、複雑さが増す可能性があります。 この選択に関する具体的な詳細については、個々のロールアッププロバイダーが提供するドキュメントを参照する必要があります。

4844はL1のガス代を削減するでしょうか?

それほど大幅には削減されません。 ロールアッププロバイダが使用するためのブロブスペース専用の新しいガス市場が導入されます。 ロールアップデータをブロブにオフロードすることでL1の手数料が削減される可能性はありますが、このアップグレードの主な目的はL2手数料の削減です。 L1 (メインネット) の手数料の削減は二次的な効果として、やや限定的に発生するかもしれません。

  • L1のガス代の削減は、ロールアッププロバイダによるブロブデータの採用・使用に比例します
  • L1のガス代は、ロールアップに関連しない活動からの競争が続く可能性が高いです
  • ブロブスペースを採用するロールアップは、L1のガス代の需要が減り、短期的にはL1ガス手数料の低下を助けるでしょう
  • ブロブスペースには依然として限りがあるため、ブロック内のブロブが飽和/満杯になると、ロールアップは一時的にデータを恒久データとして投稿する必要が生じ、それがL1およびL2のガス価格を押し上げる可能性があります

これは他のEVMレイヤー1ブロックチェーンの手数料を削減しますか?

できません。 プロト・ダンクシャーディングの利点は、イーサリアムのレイヤー1 (メインネット) にプルーフを保存する、レイヤー2ロールアップに特有のものです。

単にイーサリアム仮想マシン (EVM) と互換性があるというだけでは、ネットワークがこのアップグレードから恩恵を受けることはありません。 イーサリアムとは独立して運用されているネットワーク (EVMと互換性があるかどうかに関わらず) は、データをイーサリアムに保存しないため、このアップグレードからの恩恵を受けません。

レイヤー2ロールアップについての詳細

映像で学びたい場合

イーサリアムのスケーリングを解き放つ、EIP-4844 — Finematics

Domothyと学ぶBlobspace入門 — Bankless

参考リンク

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