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ページの最終更新日時: 2024年4月1日

ブロックチェーンブリッジ

Web3は、L1ブロックチェーンとL2スケーリングソリューションのエコシステムに発展し、それぞれ独自の機能とトレードオフがあります。 ブロックチェーンのプロトコルが増えるにつれ、チェーン間で資産を移動させる需要(opens in a new tab)も増えています。 この需要を満たすのが、ブリッジです。

ブリッジとは

ブロックチェーンの世界でのブリッジとは、その名のとおりブリッジ(橋)と同じような機能があります。 橋が2つの場所をつなぐように、ブロックチェーンのブリッジは2つのブロックチェーンエコシステムをつなぎ、 ブロックチェーン間の情報・資産をやり取りできます。

例を考えてみましょう。

アメリカからヨーロッパに旅行を計画しているとします。 米ドルを持ってますが、支払いにはユーロが必要です。 手数料を払って両替所を利用し、米ドルをユーロに両替することができます。

しかし、異なるブロックチェーンを利用するために、同様の両替を行う場合は、どうすればいいでしょうか? イーサリアムメインネット上のETHから、Arbitrum(opens in a new tab)のETHに交換を希望しているとします。 米ドルからユーロへの両替のように、イーサリアムからArbitrumへETHを移動させるメカニズムが必要です。 ブリッジはこのようなトランザクションを可能にします。 この場合、Arbitrumのネイティブブリッジ(opens in a new tab)があり、メインネットからArbitrumにETHを移動できます。

ブリッジが必要な理由

すべてのブロックチェーンには制限があります。 イーサリアムが需要に追いつくためにスケールアップするには、ロールアップが必要です。 あるいは、SolanaやAvalancheのようなL1チェーンでは、分散化を代償にして、より高いスループットを実現するために異なる設計をしています。

しかし、すべてのブロックチェーンは、独立した環境で開発され、異なるルールと合意メカニズムを使用します。 つまり、ネイティブではブロックチェーン間の通信ができず、トークンもブロックチェーン間を自由に移動できません。

ブリッジはブロックチェーンを接続し、ブロックチェーン間の情報、トークンを移動できます。

ブリッジは下記を実現します。

  • チェーンの垣根を超えた資産、情報の移動.
  • 分散型アプリ(Dapp)を使用して、複数のブロックチェーンの強みを活用し、その結果、機能の向上(現在はプロトコルにイノベーションに利用できる設計スペースが増えたため)。
  • 新しいプラットフォームにアクセスし、異なるチェーンの利点を活用
  • 異なるブロックチェーンエコシステムからのデベロッパー同士が協力し、新しいプラットフォームの開発

トークンをレイヤー2にブリッジする方法

ブリッジのユースケース

下記は、ブリッジを活用できるシナリオです。

トランザクションフィーを安価に

例えば、イーサリアムメインネットのETHを持っていると仮定して、他の分散型アプリ(Dapp)を探すため、トランザクションフィーをより安価にしたいとします。 メインネットからイーサリアムのL2ロールアップに、ETHをブリッジすることで、トランザクションフィーを安価にすることができます。

他のブロックチェーンの分散型アプリ(Dapp)

USDTを貸し出すのにイーサリアムムメインネットのAaveを使用している場合、PolygonのAaveでUSDTを貸し出すと、金利がより高くなります。

ブロックチェーンエコシステムの探索

イーサリアムメインネットでETHを所有していて、代替のL1の分散型アプリ(Dapp)を使用したいとします。 ブリッジを使って、イーサリアムメインネットから他のL1にETHを移動させることができます。

ネイティブ仮想通貨の所有

例えば、ネイティブビットコイン(BTC)の保有を希望しており、資金はイーサリアムメインネットにあるとします。 イーサリアムでBTCを入手するために、ラップドビットコイン(WBTC)を購入できます。 しかし、WBTCはイーサリアムネットワークのERC-20トークンであり、ビットコインのイーサリアム版のようなあもので、ビットコインブロックチェーンの資産ではありません。 ネイティブのBTCを保有するには、イーサリアムからビットコインに資産をブリッジする必要があります。 WBTCをブリッジすれば、ネイティブのBTCに交換できます。 あるいは、BTCを保有していて、イーサリアムの分散型金融(DeFi)プロトコルで使用したいとします。 これには、逆にBTCからWBTCへのブリッジが必要となり、WBTCはイーサリアムの資産として使用することができます。

中央集権型取引所を使用すると、これらのすべてを行えます。 しかし、取引所に資産がある場合を除いては、複数の手順が必要になるため、ブリッジを使用する方が手間が省けます。

ブリッジの種類

ブリッジには多くの種類の設計や複雑さがあります。 一般的に、ブリッジは、トラストとトラストレスの2つのカテゴリに分類されます。

トラストブリッジトレストレスブリッジ
トラストブリッジでは、運用を中央エンティティやシステムに依存します。トレストレスブリッジは、スマートコントラクトやアルゴリズムを用いて運用します。
資産の保管やセキュリティをトラストブリッジに信頼しなければなりません。 ユーザーは主にブリッジ運営の評判に頼っています。ブリッジのセキュリティは基盤となるブロックチェーンのセキュリティと同じで、信頼する必要がなく、トラストレスです。
自分自身の仮想通貨の管理を諦める必要があります。スマートコントラクトを経由して、トラストレスブリッジにより、自分自身の資金管理ができます。

一言で言えば、トラストブリッジでは、サードパーティへの「信頼の前提」があると言え、一方のトラストレスブリッジでは、この信頼を最小限にし、基盤となるドメインを超える範囲で、新たに信頼を置く必要がありません。 これらの用語を下記に説明します。

  • トラストレス: 基盤となるドメインと同等のセキュリティ。 Arjun Bhuptaniのこちらの記事で(opens in a new tab)説明されています。
  • 信頼の前提: 外部の検証者をシステムに含めることで、基盤となるドメインのセキュリティから離れ、暗号経済的にセキュリティが低下。

2つのアプローチの重要な違いをもっと理解するために、例を見てみましょう。

空港の保安検査場にいるとします。 2種類のチェックポイントがあります。

  1. 手動チェックポイント — 搭乗券を渡す前に、係員が航空券の詳細と身分証明書をすべて手動で確認します。
  2. セルフチェックイン — 機械にフライトの詳細を入力し、問題がなければ搭乗券を受け取ります。

手動チェックポイントはトラストモデルに似ており、サードパーティー(係員)に依存します。 係員が正しい決定を行い、個人情報を正しく使用してくれるものと信頼します。

セルフチェックインは、係員による作業を削除し、テクノロジーを使用するため、トラストレスモデルに似ています。 搭乗者は常にデータを管理でき、個人情報をサードパーティに渡す必要はありません。

多くのブリッジソリューションは、これらの両極端な例の間にある異なるトラストレスモデルを採用しています。

ブリッジ利用のリスク

ブリッジは開発の初期段階です。 最適なブリッジの設計はまだ発見されていない可能性があります。 そのため、どの種類のブリッジでもリスクが伴います。

  • スマートコントラクトのリスク — 資金を失ってしまう可能性のあるコードのバグ
  • テクノロジーのリスク — ソフトウェアの障害、コードのバグ、ヒューマンエラー、スパム、悪意のある攻撃による障害

さらに、トラストブリッジでは「信頼の前提」が必要なため、下記のようなリスクがあります。

  • 検閲のリスク — 理論的にはブリッジの運営側が、ユーザーのブリッジを使用した資産の移動を停止可能
  • 資産保管のリスク — ブリッジ運営側による不正行為と資金の窃取

下記の場合は、ユーザーの資金にリスクにさらされます。

  • スマートコントラクトのバグ
  • ユーザーによるエラー
  • 基盤となるブロックチェーンのハッキング
  • トラストブリッジで、ブリッジ運営側による悪意的な行動
  • ブリッジのハッキング

最近のハッキングされた例として、Solanaのワームホールブリッジで、120k wETH (3億2500万米ドル)が盗難(opens in a new tab)の被害に逢いました。 規模の大きいブロックチェーンのハッキングの多くはブリッジに関連したもの(opens in a new tab)でした。

ブリッジは、イーサリアムのL2を初めて利用するユーザー、またさまざまなエコシステムを探索したいユーザーにとっても重要なものです。 しかし、ブリッジ利用に伴うリスクを考慮し、ブリッジのトレードオフの理解が必要です。 これらはクロスチェーンセキュリティの戦略(opens in a new tab)です。

参考文献

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