イーサリアムのロードマップには、スケーリングやセキュリティの確保において短期的には必要のないものもありますが、長期的な視点においては、イーサリアムの安定性と信頼性を高めるために必要となるものです。
量子耐性
現在のイーサリアムを保護しているの一部は、量子コンピューティングが現実のものとなった際に危殆化します。 量子コンピューターが現代の暗号技術にとって脅威となるには数十年かかると言われていますが、イーサリアムは今後何世紀にもわたって安全に運用することを目標にしています。 これは、できるだけ早くイーサリアムに量子耐性を持たせる (opens in a new tab)ことを意味します。
イーサリアム開発者が直面している課題は、現在のプロトコルが、有効なの投票を集約するために、BLSとして知られる非常に効率的な署名スキームに依存していることです。 この署名スキームは、量子コンピューターによって破られてしまう可能性があります。一方、量子耐性のある代替手段は、計算効率がそれほど良くありません。
イーサリアムの複数の箇所で暗号の秘密を生成するために使用されている「KZG」コミットメントスキームは、量子脆弱性があることが知られています。 現在これは、多くのユーザーが量子コンピューターでリバースエンジニアリングできないランダム性を生成した「トラステッドセットアップ」(メインのセットアップセレモニーは2023年に無事完了) を使用することで回避されています。 しかし、理想的な長期ソリューションは、代わりに量子安全な暗号技術を組み込むことです。 BLSスキームの効率的な代替案となりうる主要なアプローチが2つあります。STARKベースの (opens in a new tab)署名と格子ベースの (opens in a new tab)署名です。 これらは現在も活発に研究・試作が進められています。
よりシンプルで効率的なイーサリアム
複雑なシステムでは、攻撃者が悪用できるバグや脆弱性が発生しやすくなります。 そのため、ロードマップの一部は、イーサリアムを簡素化し、様々なアップグレードを経て残っているものの、もはや不要になったり、改善の余地があったりするコードを削除または修正することです。 無駄のないシンプルなコードベースにすることで、デベロッパーは保守、理解しやすくなります。
イーサリアム仮想マシン(EVM)をよりシンプルで効率的にするために、改善が継続的に研究、実装されています。 これには、レガシーコンポーネントへの対処と最適化の導入の両方が含まれます。
最近実装された変更点:
- ガス計算の見直し: の計算方法は、**EIP-1559(2021年のロンドン・アップグレードで実装)**で大幅に改善され、より予測可能なトランザクション価格設定のためにベースフィーとバーン(焼却)メカニズムが導入されました。
SELFDESTRUCTの制限:SELFDESTRUCTオペコードは、めったに使用されませんが、潜在的なリスクをもたらしました。 その機能は、特にステート管理に関する危険を軽減するため、EIP-6780によってデンクン・アップグレード(2024年3月)で大幅に制限されました。- トランザクションタイプの近代化: 新機能のサポートとレガシータイプに対する効率向上のため、新しいトランザクションフォーマットが導入されました(例: デンクン・アップグレードにおけるブロブのためのEIP-2718およびEIP-4844経由)。
現在進行中および将来の目標:
SELFDESTRUCTのさらなる対処: 制限されているものの、EVMのステートをさらに簡素化するため、将来のアップグレードでSELFDESTRUCTオペコードの完全な削除の可能性が依然として検討されています。 (SELFDESTRUCTの問題に関する詳しい背景 (opens in a new tab))- レガシートランザクションの段階的廃止: は後方互換性のために古いトランザクションタイプをまだサポートしていますが、目標は新しいタイプへの移行を奨励し、将来的には最も古いフォーマットのサポートを非推奨にするか完全に削除することです。
- ガス効率研究の継続: リソース使用量をよりよく反映するために、多次元ガスのような概念を含む可能性のあるガス計算のさらなる改良について、探求が続けられています。
- 暗号化処理の最適化: EVM内で使用される暗号化処理を支える算術のためのより効率的な手法を導入する取り組みが進行中です。
同様に、現在のイーサリアムクライアントの他の部分もアップデートされる可能性があります。 一例として現在は、実行クライアントとコンセンサスクライアントが異なるデータ圧縮方式を使用しています。 この圧縮方式をネットワーク全体で統一すれば、クライアント間でのデータ共有がより簡単で直感的になります。 これは依然として探求の領域です。
現在の進捗
長期的な将来を見据えたアップグレードの多く、特にコアプロトコルの完全な量子耐性は、まだ研究段階にあり、実装まで数年かかる可能性があります。
しかし、簡素化の取り組みではすでに大きな進歩が見られます。 例えば、**SELFDESTRUCTの制限(EIP-6780)やブロブ搭載トランザクションの導入(EIP-4844)**のような主要な変更は、**デンクン・アップグレード(2024年3月)**で実装されました。 クライアントの圧縮スキームの調和やその他の効率改善に関する作業も継続しています。
参考文献
最終更新: 2025年4月14日
