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マージ

  • イーサリアムメインネットは現在プルーフ・オブ・ステークを使用していますが、これまではそうではありませんでした。
  • 旧プルーフ・オブ・ワークのメカニズムからプルーフ・オブ・ステークへのアップグレードはマージと呼ばれます。
  • マージとは、元のイーサリアムメインネットが、ビーコンチェーンとよばれる別のプルーフ・オブ・ステークのブロックチェーンと統合(マージ)し、1つのチェーンになったことを意味します。
  • マージによりイーサリアムのエネルギー消費が最大99.95%削減されました。

ページの最終更新日時: 2024年1月18日

マージとは

マージとは、イーサリアムの元の実行レイヤー (誕生から存在するメインネット) と、新規のプルーフ・オブ・ステークのコンセンサスレイヤーであるビーコンチェーンをマージ(統合)することでした。 これにより、エネルギー集約的なマイニングが不要になり、代わりにステーキングされたETHを利用して、ネットワークのセキュリティが確保されるようになりました。 イーサリアムのビジョンである、より高性能なスケーラビリティ、より安心なセキュリティ、より高いレベルの持続可能性を実現するための、本当にエキサイティングなステップとなりました。

当初、

とは別にビーコンチェーンがリリースされました。 メインネットではプルーフ・オブ・ワークによりすべてのアカウント、残高、スマートコントラクトおよびブロックチェーンの状態の安全性が保たれ、それと同時にプルーフ・オブ・ステークを活用したビーコンチェーンが並行して稼働していました。 マージでは、これらの2つのシステムが最終的に統合され、プルーフ・オブ・ワークが永久にプルーフ・オブ・ステークに置き換わりました。

イーサリアムが、恒星間航行への準備が不十分で打ち上げられた宇宙船だと想像してみてください。 ビーコンチェーンによって、新型のエンジンと強化された船体が構築されました。 大規模なテストが行われた後、旧式のエンジンと新型のエンジンを飛行中に入れ替える時期となりました。 より効率的な新型のエンジンを既存の宇宙船にマージしたことにより、何光年もの長い宇宙への旅ができるようになったのです。

メインネットとのマージ

イーサリアムメインネットは、その誕生からマージまで、プルーフ・オブ・ワークにより保護されてきました。 プルーフ・オブ・ワークのもと、トランザクション、スマートコントラクト、アカウントなど、馴染みのあるすべての機能を備えた、イーサリアムのブロックチェーンが2015年7月に実現しました。

イーサリアムの歴史を通して、デベロッパーはプルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークへの最終的な移行の準備を行ってきました。 2020年12月1日、メインネットとは別のブロックチェーンとして、ビーコンチェーンが誕生し、メインネットと並行して稼働しました。

ビーコンチェーンは、もともとはメインネットのトランザクションの処理はせず、 代わりに、アクティブなバリデータとそのアカウント残高に合意することで、独自の状態でコンセンサスに達していました。 膨大なテストを経て、ビーコンチェーンは実世界のデータでのコンセンサスに用いる時が来ました。 マージ後は、ビーコンチェーンが実行レイヤーのトランザクションやアカウント残高を含む全てのネットワークデータのコンセンサスエンジンになりまりました。

マージは、ブロック生成のエンジンとしてビーコンチェーンを使用するという公式な変更になり、 マイニングは有効なブロックを生成する手段ではなくなりました。 代わりに、プルーフ・オブ・ステークのバリデータが、すべてのトランザクションの有効性とブロック生成の処理を担当することになりました。

マージにより、履歴は失われていません。 メインネットがビーコンチェーンにマージされ、イーサリアムのすべてのトランザクション履歴もマージされました。

このプルーフ・オブ・ステークへの移行により、イーサ(ETH)の発行方法も変わりました。 マージ前後におけるイーサ(ETH)発行の詳細については、こちらをご覧ください。

ユーザーと所有者

保有者やユーザーにとっては、マージにより何かが変わったということはありません。

繰り返しになりますが、ETHやイーサリアム上の他のデジタル資産のユーザーや保有者、またノードを運用していないステイカーは、 マージに伴い、資金やウォレットに何かをする必要はありません。ETHはETHのままです。 マージ後も、「古いETH」/「新しいETH」や「ETH1」/「ETH2」のようなものはなく、ウォレットは以前とまったく同じように動作します。そうでないと言う人は詐欺師の可能性があります。

プルーフ・オブ・ワークを停止し、プルーフ・オブ・ステークに移行した後も、イーサリアムの誕生以降の全トランザクション履歴はそのままで、変更されていません。 マージ以前にウォレットに保有されていた資金は、マージ後も引き続きご利用いただけます。 ユーザーや保有者は、何かをアップグレードする必要はありません。

イーサリアムセキュリティの詳細

マージと分散型アプリ(Dapp)のデベロッパー

マージとエネルギー消費

マージは、イーサリアムでのプルーフ・オブ・ワークの終わりを意味し、より持続可能で環境に優しいイーサリアムの時代をスタートさせました。 イーサリアムのエネルギー消費量は推定で99.95%減少し、環境に優しいブロックチェーンとなりました。 イーサリアムのエネルギー消費の詳細

マージとスケーリング

マージにより、プルーフ・オブ・ワークでは不可能だったスケーラビリティのさらなる向上が可能になったことで、イーサリアムのビジョンである完全なスケーラビリティ、セキュリティ、サステナビリティの達成に一歩近づくことになります。

マージに関する誤解について

Eth2の名称廃止

「Eth2」という用語は廃止されました。 「Eth1」と「Eth2」が単一チェーンに統合された今では、2つのイーサリアムネットワークを区別する必要はなくなり「イーサリアム」のみとなりました。

混乱をなくすため、次の名称が変更になりました。

  • 「Eth1」は「実行レイヤー」と名称が変わり、これはトランザクションと実行を処理するレイヤーです。
  • 「Eth2」は「コンセンサスレイヤー」となり、プルーフ・オブ・ステークのコンセンサスを処理するレイヤーです。

これらの用語の変更は、単に名称を変更するだけのものであり、イーサリアムの目標やロードマップには影響を及ぼしません。

「Eth2」名称変更の詳細(opens in a new tab)

アップグレード間の関係

イーサリアムのアップグレードはすべて、多少なりとも相互に関連しています。 マージと他のアップグレードがどのように関係しているか、まとめてみましょう。

マージとビーコンチェーン

マージにより、元のメインネットの実行レイヤーへ、新しくコンセンサスレイヤーとしてビーコンチェーンが正式に採用されました。 マージ以降、バリデータがイーサリアムメインネットの保護にあたり、プルーフ・オブ・ワークによるマイニングはブロック生成の有効な手段ではなくなっています。

ブロックは、コンセンサスに参加する権利を得るために、ETHをステーキングしたノードを検証することで提案されます。 これらのアップグレードは、シャーディングを含む将来のスケーラビリティのアップグレードの準備段階となります。

ビーコンチェーン

マージと上海アップグレード

プルーフ・オブ・ステークへの移行を簡略化し、移行作業に最大限の注力を注ぐため、マージでは、ステーキングしたETHの引き出し機能など、いくつかの予定されたいた機能が対象外となりました。 この機能は別途、上海/カペラアップグレードのアップグレードで有効化されました。

さらにご興味のある方は、ヴィタリックが2021年4月のETHGlobalイベントで発表したマージ後の予定(opens in a new tab)をご覧ください。

マージとシャーディング

もともとの計画では、マージ前にシャーディングに取り組み、スケーラビリティに対応する予定でした。 しかし、レイヤー2スケーリングソリューションの高まりにより、まずはプルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークへの移行が優先されました。

シャーディング計画は急速に進展していますが、トランザクションの実行をスケールリングするレイヤー2技術の台頭と成功により、ロールアップコントラクトからの圧縮コールデータ(calldata)の保存を負荷分散する最適な方法を見つけることにシフトしています。これにより、ネットワーク容量を指数関数的に増やすことができるようになります。 プルーフ・オブ・ステークへの移行がなければ、これは実現不可能なことでした。

シャーディング画像

参考文献

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