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サイドチェーン

最終編集者: @HiroyukiNaito(opens in a new tab), 2024年3月29日

サイドチェーンとは、イーサリアムから独立して実行され、双方向のブリッジによりイーサリアムメインネットに接続されている別個のブロックチェーンです。 サイドチェーンは、メインネットとは異なるブロックのパラメータおよびコンセンサス・アルゴリズムを持つことができ、多くの場合トランザクションの効率的な処理のために設計されています。 しかし、イーサリアムのセキュリティ特性を活用できないため、トレードオフが発生します。 レイヤー2のスケーリングソリューションとは異なり、サイドチェーンは状態変化やトンラザクションデータをイーサリアムメインネットに送信しません。

サイドチェーンではさらに、高スループットを実現するために、分散性やセキュリティが低下します(スケーラビリティのトリレンマ(opens in a new tab))。 一方イーサリアムは、アップグレードに関するビジョン・ステートメントで述べられているように、分散性およびセキュリティを犠牲にすることなくスケーリングを実現することを目指しています。

サイドチェーンはどのように機能するのか?

各サイドチェーンは、それぞれが独自の開発履歴、ロードマップ、および設計上の検討事項を持つ独立したブロックチェーンです。 サイドチェーンは、表面的にはイーサリアムに類似した部分があったとしても、いくつか独自の特徴を持っています。

コンセンサス・アルゴリズム

サイドチェーンの独自性(イーサリアムとの相違点)のひとつとしては、採用されているコンセンサス・アルゴリズムが挙げられます。 サイドチェーンでは、コンセンサスをイーサリアムに依存せず、各サイドチェーンのニーズに合わせて別のコンセンサス・プロトコルを選択することができます。 サイドチェーンで用いられているコンセンサス・アルゴリズムの例としては、以下が挙げられます:

サイドチェーンは、イーサリアムと同様に、トランザクションを検証、処理し、ブロックを生成し、ブロックチェーンの状態を保存する検証ノード(バリデータ)を持ちます。 バリデータはさらに、サイドチェーンネットワーク全体におけるコンセンサスを維持し、悪意の攻撃から防御する責任を負います。

ブロックのパラメータ

イーサリアムでは、ブロック生成時間 (新規ブロックの生成に必要な時間) と ブロックサイズ (ガス単位で表示されるブロックあたりのデータ量) に上限が設定されています。 反対に多くのサイドチェーンでは、より短いブロック生成時間やより高いガス上限などの異なるパラメータを設定することで、高スループット、迅速なトランザクション、および低い手数料を実現しています。

このようなアプローチにはいくつかの利点がありますが、ネットワークの分散化およびセキュリティ保護に対して重大な影響が生じます。 短いブロック生成時間や大きなブロックサイズといったブロックのパラメータは、フルノードの実行を困難にするものであり、いくつかの「スーパーノード」のみがチェーンのセキュリティ保護に責任を負うことになってしまいます。 これにより、バリデータが共謀したり、悪意によるチェーンの乗っ取りが発生する可能性が高まるのです。

ブロックチェーンにおいて、分散性を犠牲にせずにスケーラビリティを実現するには、特殊なハードウェアを持つユーザーに限らず、すべてのユーザーがノードを実行できるように開放されていなければなりません。 これこそ、イーサリアムネットワークにおいて、誰もがフルノードを実行できるように保証する取り組みが続けられている理由です。

EVMとの互換性

一部のサイドチェーンはEVM互換であるため、イーサリアム仮想マシン(EVM)向けに開発されたスマートコントラクトを実行することができます。 EVM互換のサイドチェーンは、Solidityやその他のEVMスマートコントラクト言語で書かれたスマートコントラクトをサポートするため、イーサリアムメインネット向けに開発されたスマートコントラクトはEVM互換のサイドチェーンでも実行することができます。

つまり、あなたが作成したDappをサイドチェーンで使用したい場合、あなたのスマートコントラクトを当該のサイドチェーンでデプロイするだけでよいです。 サイドチェーンにおけるDappの外観、感触、および動作はメインネットの場合とまったく同じです。Solidity上でコントラクトを作成し、サイドチェーンのRPCを介してチェーンとのやりとりを行います。

サイドチェーンがEVM互換であるため、イーサリアムネイティブのDappにとっては有益なスケーリングソリューションであると言えるでしょう。 Dappをサイドチェーンでデプロイすることにより、ユーザーは、特にメインネットが混雑している場合に、低いガス代と迅速なトランザクション実行という利点を享受できます。

ただし、すでに述べた通り、サイドチェーンの使用は大きなトレードオフを伴います。 個別のサイドチェーンはそれ自体でセキュリティ保護の責任を負い、イーサリアムのセキュリティ特性を継承しないためです。 これは、ユーザーに悪影響を及ぼしたり、資金をリスクにさらす悪意の行動を防止できないことを意味します。

資産の移動

独立したブロックチェーンがイーサリアムメインネットのサイドチェーンとなるためには、イーサリアムメインネットとの間の資産の出し入れが容易に実行できる機能が必要です。 このイーサリアムとの相互運用性は、ブロックチェーン・ブリッジにより提供されます。 ブリッジは、イーサリアムメインネット上でデプロイされたスマートコントラクトとサイドチェーンを用いて、メインネットとサイドチェーン間の資金移動を管理します。

ブリッジはイーサリアムとサイドチェーン間の資金移動を手助けしますが、すでに発行された資産が実際に2つのチェーン間を移動する訳ではありません。 むしろ通常は、コインのミントおよびバーンを用いたメカニズムにより、複数のチェーン間で価値を移転します。 詳しくは、ブリッジの仕組みをご覧ください。

サイドチェーンの長所と短所

長所短所
サイドチェーンの基盤技術は十分に確立されており、広範なリサーチおよび設計上の改善を経ています。サイドチェーンでは、スケーラビリティを実現するためのトレードオフとして、分散化およびトラストレス性がある程度犠牲になります。
サイドチェーンは、全般的な計算をサポートし、EVM互換性を提供します(イーサリアムネイティブのDappが実行可能)。サイドチェーンでは、別個のコンセンサスメカニズムが用いられるため、イーサリアムによるセキュリティ保証を活用できません。
サイドチェーンは、トランザクションの処理効率を高め、ユーザーのトランザクション手数料を引き下げるために、様々なコンセンサスモデルを採用しています。サイドチェーンでは、より高い水準の信頼前提が必要になります(例:サイドチェーンでは、悪意のバリデータが共謀することで不正行為が実行可能です)。
Dappは、EVM互換のサイドチェーンを用いて自らのエコシステムを拡張できます。

サイドチェーンの使用

複数のプロジェクトにおいて、Dappと統合できるサイドチェーン実装が提供されています。

参考文献

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